ふるさと銀河線(高田 郁)
いつもの通勤・通学列車から見える線路沿いの古いアパートに暮らす見知らぬ老夫婦を車窓越しに見守る人々、駅のホームの蕎麦屋で働く祖父に数年ぶりに会いに来た悩みを抱えた少年、一人息子を亡くしかつてその息子が訪れた北海道の町を訪ねる夫婦、アルツハイマーを患い少しずつ壊れていく自分と葛藤する母親とそれをささえる息子など、読みながらいろいろな感情が沸き起こる一冊です。
題名にもなっている北海道の「ふるさと銀河線」は、今では廃線になっているそうですが、この本を読んで乗ってみたかったな~と思いました。
列車にゴトゴト揺られながら車窓の雄大な景色を見るというのは、まさに旅情を掻き立てられるイメージで、収録されている「ふるさと銀河線」と「返信」では、そんなノスタルジックな感覚を味わえると思います。
本作は、高田さんの時代物(みをつくし料理帖など)で作者のファンになって読んだのですが、「感動」の度合いはやはり長編の時代物の方がダントツでした。
しかし、時代設定が現代なだけあって、生活環境や登場人物たちがより身近に感じられたので、感情移入はこちらのほうが強かったかも。なので、ほとんどの話で泣けてしまったし、読んだ後も心にジーンと残るものがありました。
この時期は帰省する方も多いと思いますが、移動中の飛行機や電車の中で読んで、ほっこりしてみてはいかがでしょう。
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【内容】
両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めるが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた(表題作)。苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながら描いた珠玉の短編集。
【目次】
お弁当ふたつ/車窓家族/ムシヤシナイ/ふるさと銀河線/返信/雨を聴く午後/あなたへの伝言/晩夏光/幸福が遠すぎたら
【著者情報】
高田郁(タカダカオル)
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2008年、『出世花』で小説家としてデビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
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