旅行期間:2013年9月29日~10月8日
6日目
休憩の後は、説明を聞きながら別の部屋に行って、お茶をいただきつつ絨毯ショーの見物です。
先生の説明に合わせて、スタッフの人たちが次から次へと手際よく絨毯を広げていきます。
=====ガイド=====
ここに3枚のウールがあるが、それぞれランクが違う。何が違うのかというと、裏の毛が違う。
C級品は目が粗く糸が太い。A級品は、目が細かく子羊の毛で糸が細くて長い。これだと200年まで大丈夫。
トルコでつくられた一番大きな絨毯で、面積は60畳。絨毯研究所の人が15人で織ったものがある。
1995年、三笠宮ご夫妻がオープニングセレモニーにいらした。考古学者だったのでカッパドキアで40年以上勉強していた。
また平山郁夫さんもずっとカッパドキアに来ていた。
現在世界で絨毯を織っている国は、中国、インド、パキスタン、アフガニスタン、トルコ、エジプト、モロッコ。
オーストラリア、ニュージーランド、アルジェンティーナ、スコットランドは羊が多いのに絨毯を織っていないのは、トルコ人が行ってないから。
絨毯は、歴史の中でトルコ人が行った国だけ教えている。それがシルクロード。
シルクロードのウルムチやカシュガルは、12世紀まで手作り絨毯作りの中心地だった。その後、セルジュクトルコ、オスマントルコ、カッパドキアになった。
平山郁夫先生のお願いで、トルコ人の目の中に日本の雄大さを表す富士山が描かれている絨毯を作った。これはトルコから日本がいつも見えるという意味が込められている。
しかし、これを織っている間に先生は亡くなってしまった。
1年後、広島大学の先生たち、奥様、弟さん、ふたりの娘さんがいらした。その時、絨毯研究所が記念として、目の中にラクダを織り込んだ絨毯もプレゼントした。この絨毯には、先生の体は亡くなったけれど魂はカッパドキアに残っているという思いを込めている。
ハドサンのおかけで日本で「大トルコ展」が行われた。
毎年、ハドサン主催でいろいろな国でトルコの宣伝をしている。
トルコ絨毯で一番有名なのは「ヘレケ」でトプカプ宮殿御用達。
こちらで村のお母さんが絨毯を織っている。これから織り方を説明する。
織るときは図案を見て織る。絨毯は、ふたむすび目という織り方で作られたものは長持ちする。ひとむすび目はそれほどでもない。
横糸をとって縦糸の間に通すのが難しく力仕事。だから子供は本来できないが、家の前などで可愛さを売りにお金目的でやらせているところがある。そういうところでは買わないでほしい。買うと子供はずっと働かされて学校に行けない。
だいたい、4時間で5ミリくらい織れる。シルクは糸が細くて目が細かいから時間がかかるが、ウールは太いのでシルクよりは短時間でできる。
織った後、シルクは硬く色が濃い。ウールは表は問題ではなく裏を見る。出来てから裏にできるケバケバを無くすために焼くが、それが自然のものではなく素材が化繊だとすぐに焼けてしまう。また本物は裏にも柄がはっきりと綺麗に出ている。
絨毯ができるとそれを役所に届けるが、役所の人はそれが本物かどうか見に来る。
織りあがると、お酢の中に3週間付け込んで足で踏み色止めを行う。
そして石鹸水で洗い、80度まで温度を上げたオーブンに入れ1ヶ月待つ。
そうすると、人工のものが混ざっていると縮んだりするのでわかる。自然のものだけだとまったく変わらない。
その後、防虫剤を入れてアイロンをかける。
そしてようやく国の鑑定書がもらえる。
この鑑定書には、製造場所、国家公務員考古学者二人のサインがボールペンで書かれている。
偽物は直筆ではなくプリントしてあり、トルコ語ではなく英語で書かれていることがある。なぜなら、偽物に対してトルコ語で鑑定書を書くと偽物のトルコ絨毯を売っているということで刑務所行きになるが、英語だと本物のトルコ絨毯ではなく偽物の外国ものを売っているということになって犯罪ではなくなるから。
また、製造場所に売り場を書いてあるのも偽物。さらに、ジェネラルマネージャーの直筆のサインがないのも偽物。
絨毯を買う際の値段の計算の仕方。
一番いいのは、ちょっと燃やしてみることだが、お店ではなかなかできない。
そこで、完成するまで何か月かかったか、絨毯を織ったところの給料はいくらか、と聞いてみる。
例えば、1か月半かかったものはカッパドキアで7万円、イスタンブールだと20万、日本だと45万。
日本で72万円で売っているものは、ここでは14万5千円。ウールで一番上のヘレケ。
日本で20年前に160万円で売られていた半年かかって作ったものは、ここでは28万円。
40年前に200万円で買われた草木染の絨毯は、今トルコで1000万で買われる。絨毯を買うことは土地を買うのと同じこと。
泥染は天日干しをしないので草木染より少し安い。草木染めは天日干しをすることで色が変わる。値段はいろいろな行程によって細かく計算されている。
問題は面積ではなく、目の細かさ。
カッパドキアは物価が安いので、同じものをイスタンブールで買うと2~3倍の値段がする。だからイスタンブールのお母さんたちは、絨毯を買うときはカッパドキアまでくる。
カッパドキアではお見合い結婚だが、相手のお母さんや親せきはお嫁さん候補の家に行って、お嫁さんの顔などではなく、家にあるいろいろな作品を見る。絨毯はもちろん、カーテン、ベッドカバー、洋服、洗濯機、掃除機など作ったものや買ったものを見て、たくさんあれば働き者だとわかる。働き者と結婚してほしい。
また、学校に行っていない貧しいお嬢さんは、いい家族の息子さんと結婚してほしいから、絨毯織りなど一生懸命がんばっている。
一生懸命織った絨毯はできれば売らずに、娘や孫に残していきたい。でも生活に困ったら仕方ないから委託する。
市役所に委託された絨毯は2万枚以上で、その中の3000枚の特別のものがここに置いてある。
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怒涛の絨毯ショーでした。
柄も素晴らしいですが、シルクの絨毯は見る角度によって色が変わるのもすごい。いい目の保養になりました。
大きな絨毯はとても買えませんが、本物のトルコ絨毯の見極め方や、質の良し悪し、妥当な値段などの講義は興味深かったです。
ちなみに、○十万するヘレケの絨毯を買った人がいましたが、船便で無事に届いたそうです。
確実に本物でいいものを欲しい人は、やはりこういうところで買った方が安心でしょう。
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