2013年7月19日金曜日

日本の選挙で「セリグマンの犬の実験」を思う




もうすぐ参院選挙ですが、あいかわらず投票率が低くなるのが予想されます。
投票に行かない理由としてよく聞かれるのが、
  • 行くのが面倒くさい
  • 行く時間がない
  • 投票したい人がいない(わからない)
  • 誰に投票しても変わらないから行かない
などですが、最後の「誰に投票しても変わらないから行かない」というのは、「今までは行っていたけど、結局何も変わらなかったからもう行く気がなくなった」という諦めの一種でしょう。

それに関連して思い浮かべたのが、

セリグマンの犬の実験

これは、アメリカの心理学者セリグマンとマイヤーが犬を使って行った条件付けの実験で、逃れられない状況で長期にわたりストレスを与えられるとどうなるかというもの。




その内容とは、まず、床に電気が流れるボックスを用意しその中に犬を入れます。
ボックスには真ん中で分かれたふたつのエリアがあり、犬はそのどちらにも行けるようになっています。
ブザーを鳴らした後、犬のいるエリアにだけ電気を流し、それを何度も繰り返します。
犬はその刺激から逃れるためにボックスの中を移動し、電流の流れていないエリアを見つけます。
やがて、

ブザーが鳴ると電流が流れるけど隣のエリアに行けば逃れられる

と学習し、そのうちブザーが鳴っただけで電流の流れていない隣のエリアに行くようになります。

その一方、逃げ場のないボックスに入れられた犬は、最初は電流から逃れようと右往左往しますが、そのうち、どうやっても逃げられないとわかると、ブザーが鳴ってもボックスの隅にうずくまって動かなくなりました。

その後、自由に隣のエリアに行けるように逃げ道を作りましたが、このような状態になった犬はそのまま動こうとせず、電流が流れてもそのエリアに留まったままだったそうです。

セリグマンはこれを

学習性無力感

と呼びました。
つまり、何をやっても、何度やっても、どうやっても報われない状況を「学習」すると、次第にそれから回避したり立ち向かったりする気力がなくなってしまうという心理です。

これは人間にもあてはまり、心因性うつ病の原因としても考えられていますが、なんだかここ数年の選挙も多くの人にこの「学習性無力感」を与えてるのではないかとふと思いました。

ちなみに、このような状態を回避するには、その行動に対する見返りが必要です。
例えば選挙に対する「学習性無力感」の回避だったら、自分が投票した人がなんらかの実感できる成果をあげたとかでしょうか。


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【著者情報】
セリグマン,マーティン(Seligman,Martin E.P)
心理学者(ペンシルベニア大学教授)。アメリカ心理学会(APA)の前会長を務めるとともに、学習性無力感と学習性楽観主義の提唱者でもある。現在は、ポジティブ心理学の推進のために活動する
(「BOOK」データベースより)
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