2013年7月4日木曜日
ゴミ屋敷オーナーの苦悩・・仲間との絆、永遠に:日常の光景
いつも通る住宅街にはゴミ屋敷がある。(その近くにはネコ屋敷もある)
ゴミと言っても雑然と散らかっているわけではなく、少なくとも表通りに面したところはきちんと重ねて置いてある。
ゴミ屋敷にしては綺麗だ。
だからゴミじゃないかもしれない。
多くのゴミ屋敷オーナーが、
これはゴミじゃありません
とテレビで言っているのを見たことがあるが、本人たちにとってはいつか必要になる大切なものなのかもしれない。
たとえそれが、錆びたカンカラとか、穴の開いた長靴とか、割れたガラスとか、カビの生えたカップラーメンとかでも・・
やっぱゴミだろ
そばを通るとなんともいえない匂いが漂ってくるが、決してそれは、常にいい香りが漂っているという石原さとみやミムラのような癒される香りではなく、ボディーブローのようにじわじわと効いてくる攻撃性のものだ。
きっと毎日あびていたら、さすがのジョーだってやられるかもしれない
おっと違った
当然ご近所から苦情も出ているだろうが、それに従わないのが全国のゴミ屋敷オーナーたちの共通点だ。
しかし、お互い会ったこともないはずなのに、そろいも揃って同じ言動をするのはどうしてだろう?
さらに、長期にわたる数々のクレームにずっと一人で耐えられるのもおかしくないか・・
組織があるに違いない
それは公にはされていないが、全国区規模の大きな連盟組織だ。
市役所職員などによるスパイの侵入を防ぐため、加盟するには一定のキャリア(ゴミ屋敷暦5年以上とか)や、ある程度の実績(ゴミの所有量1トン以上とか)が必要だが、それをクリアすれば連盟幹部の承認をもって正式会員となれる。
正式会員は一定の年会費を払うことにより、季刊誌「ゴミの友」の購読や、半期に一度のイベント「わたしのゴミコレクション」への参加もでき、各地に散らばる他の会員とのコミュニケーションも図ることができる。さらには、連盟の公式サイトにログインするためのIDとパスワードが発行されるため、いつでも最新情報や連盟へのお問い合わせができるのだ。
連盟の主な活動としては、ゴミ屋敷の保護と価値向上、クレームによる精神的負担のメンタルケア、マスコミやご近所対策のスキルアップ、さらには会員たちの年間所得を一定額増やすことを目指しており、
ゴミノミクス
として政策を推し進めている。
しかし時がたつにつれ、発足当時は血気盛んに守り立てていた幹部たちも、権力闘争や派閥争いを繰り返すようになり、高級クラブでの接待、料亭での裏金の授受、国内外へのカラ出張など、己の欲と保身にばかり注力し始め瞬く間に腐敗していった。
このところは連盟幹部の失言や使い込み、果ては敵であった市役所への天下りなどが相次ぎ発覚し、ついには退任に追い込まれる先生も出てくるなど、会員らの不信を買っている。
そんな中でも組織を維持できているのは、ひとえに会員同士の絆と言ってもいいだろう。
会員規則では、退会した者は他の会員および元会員とも一切連絡をとることを許されず、ふたたび孤独なゴミ屋敷オーナーに戻らねばならない。
電話、メール、手紙などすべての通信手段は監視されているため、違反した場合は即刻罰を受けることになる。
そして、その罰とは、ゴミ屋敷オーナーとしては最も辛い、
ゴミの撤去だ
連盟内で特別に訓練を受けた特殊部隊、通称GTO(ヤンキー上がりの隊長が率いる「ゴミを撤去するお掃除隊」の略)が極秘裏のうちに屋敷を訪れ、オーナーが寝ている間に全てのゴミを音も無く処分し、ついでに屋敷中の掃除もしてしまう。
朝目覚めたオーナーが、ゴミどころかチリひとつない屋敷を目の当たりにしてショックのあまり気を失い、そのまま病院送りになったという話もある。
まったくひどい話だ
一旦会員になって仲間との繋がりによる温かさや心強さを経験してしまうと、再び孤独となり市役所やご近所と戦っていくのは辛いものだ。
連盟はそこにつけ込んで会員の脱退を阻止している。
幹部たちはそうして回収した年会費をがっぽり溜め込み、悠々自適のゴミ屋敷生活を送っているのだ。
しかし会員たちもただ手をこまねいているわけではない。
この状況を打破すべくいろいろと考え始めているのだ。
自分たちの弱みは仲間との連絡が取れなくなることと、GTOによるゴミの撤去(と屋敷のクリーニング)だ。
退会すれば仲間とゴミを両方得るのは難しい。
だとしたら・・・
ゴミのない生活に慣れるしかない
つまり、GTOに踏み込まれて綺麗に片付けられてもそれを苦痛に思わないようにすればいいのだ。
そうすれば、退会後に仲間と連絡をとるのも怖くない。
修行だ
徐々にゴミを片付けて慣れていこう。
完全に組織から足を洗うのだ。
この方法は、口伝で仲間たちに広がり、勇気のあるものからすでに実践され始めている。
まだ完全に遂行したものはいないが、それも時間の問題だろう。
もしかしたらいつも通る住宅街のゴミ屋敷のオーナーもこの修行中なのかもしれない。
だから、少しずつ「綺麗」に対する免疫をつけるため、ゴミ屋敷にも係わらずきちんと重ねておいてあるのだ。
まだまだ先は長いが、きっと道は開けるはずだ
その暁には、既存の仲間たちとの絆が守られるのはもちろん、綺麗に片付いたことで市役所やご近所からも温かい拍手が送られるだろう。さらには新たな友人もできるかもしれない。
目指せ脱会!努力はきっと報われる
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