流れ 自然が創り出す美しいパターン(フィリップ・ボール)
以前、モロッコやチュニジアのサハラ砂漠を訪れたとき、その広大な砂の海に現れる美しい風紋に感動したのですが、それがどのようにできるのかを知りたくてこの本を読み始めました。
風紋を全体として見てみれば「模様」になっていますが、それを形成しているのはただの小さな砂粒です。
意思を持たないそれらの粒々が、なぜ風に吹かれただけであんな形を作ることが出来るのか、とても不思議に思っていました。
その答えがこの本の中で丁寧に説明されていて、思わず読みながら「へ~~」を連発。
他にも、空に浮かぶ雲の形からそこの大気の流れがわかったり、集団になると自然に発生する流れがあるなど、普段何気なく見ているもののなかに、実は様々な要素が潜んでいることがわかります。
中にはまだ解明されていないものもたくさんありますが、それはそれで「そんな見慣れている現象が現在においてもまだ謎なのか」という驚きがありました。
例えば、「ミルクの冠(ミルククラウン)」。お皿に入れたミルクに、上から滴を落とすとできる王冠のような形のことですが、なぜあのような形になるのか未だにわからないそうです。
何かのロゴなどにも使われるほど有名な形状ですが、それがこんなに謎だらけの現象だったなんて。
この本に書いてあるような大気の流れや力の作用など、なかなか目に見えない動きを知った上であらためて周りを見てみると、今までと違う見方ができるので面白い。
絶対知っていなければならない知識ではありませんが、知っていることによって、これまで見えていなかったものが見えてくるというちょっとステキな体験ができると思います。
流れ 自然が創り出す美しいパターン
【内容】
万能のルネサンス人ダヴィンチを魅了し、天才物理学者ハイゼンベルクを虜にした「流れ」。それは万物の変化をとらえるための、最も身近でありながら最も科学的な解明が困難な、人の心をとらえて離さないパターンである。女性の髪のウェーブから海や川のうねりや渦、砂漠を彩る多様な紋様、そして生物の動きにみられる「流れ」と、多様な現われを統一的に支配する原理に、科学はどこまで迫ることができたのだろうか。自然に潜むパターンの数理を、豊富なヴィジュアルを楽しみながら明かす驚きの3部作、謎の深まる第2弾。
【目次】
1 流体を愛した男ーレオナルドの遺産/2 下流のパターンー流れる秩序/3 ロールに乗ってー対流はいかにして世界を形づくるか/4 砂丘の謎ー粒子が寄り集まるとき/5 隣のものについていけー鳥の群れ、虫の群れ、人の群れ/6 大渦の中へー乱流の問題
【著者情報】
ボール,フィリップ(Ball,Philip)
フリーランスのサイエンスライターで、「ネイチャー」誌のコンサルタント・エディター。「ネイチャー」、「ニュー・サイエンティスト」、「タイムズ」などに科学全般について幅広い執筆活動を行っている。著書に、アメリカ出版者協会賞の化学部門賞を受賞したDesigning the Molecular World:Chemistry at the Frontierなど多数(「BOOK」データベースより)
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