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企画展は、別棟の「日本館」でやっているのですが、この日本館というのは重要文化財で、旧東京科学博物館だった場所だそうです。
展示室は木の床で、なんとなく小学校の時に嗅いだワックスの匂いがする(気のせいかも)感じで懐かしい。
日本館(旧東京科学博物館)
日本館建物は、関東大震災により震災復旧を目的として昭和6年(1931)に完成した。ネオ・ルネサンス調の建物は、文部省大臣官房建築課の設計による。鉄骨鉄筋コンクリートで建設されるなど耐震・耐火構造にも注意が払われた。中央ホール上部などに使われているステンドグラスは小川三知のアトリエ制作で、日本のステンドグラス作品の中でも傑作といえる。また、建物の内外に使われている装飾性の高い飾りなども、戦後の建物には無くこの建物のみどころである。
上から見ると、そのころの最先端の科学技術の象徴だった飛行機の形をしている。
なお、平成20年6月に国の重要文化財に指定された。(案内版より)
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「砂漠を生き抜く」の企画展の部屋に入るとラクダがお出迎え。
今までいろいろな砂漠(モロッコのサハラ砂漠・ウズベキスタンのキジルクム砂漠・新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠・ペルーのワカチナオアシスがある砂漠など)に行ってきたので、とても興味がありました。
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企画展「砂漠を生き抜く」
この展覧会では、砂漠という過酷な環境を生きる人間や動物、植物の姿を紹介します。砂漠では、動物や植物は体を変化させて環境に適応し、ヒトはそれを利用して暮らしています。そして砂漠に生きる人々が生み出した文化には、私たちのこれからの生き方を考えるヒントがあるのです。(パンフレットより)
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たくさんの写真や模型、実際に砂漠で使われている生活道具や服などが展示されていてとてもわかりやすい。
その中のいくつかをご紹介しますが、コーヒーにまつわる話が個人的に面白かったです。
砂漠の衣服~砂漠の暑さ寒さをしのぐ知恵~
砂漠では、湿度はそれほど高くないものの、強い日差しが照りつけます。そこで生活する人びとは、肌の露出をできるだけ少なくすることによって直射日光から肌を守ります。衣服の色は、太陽熱を反射させる効果がある白が基本になっています。
さらに、ゆったりとした衣服を着ることで、体と衣服の間に外気温より低い空気の層を作り、涼しく過ごす工夫があります。
また、砂漠といえども冷え込む夜間や冬には、動物の毛から作られた上着で寒さから身を守ります。(案内版より)
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コーヒーの効能と文化~コーヒーの不思議な効果~
のどが渇いたとき、私たちは冷たい水を飲めばよいと考えがちですが、砂漠の暑さの中では、水はすぐに汗となり、体の中に水分がとどまる感覚がありません。スーダンやエジプトでは、熱い紅茶もコーヒーもよく飲みますが、特にコーヒーは、砂糖をたっぷりと入れ、コショウ、シナモンなど好みの香辛料を入れて飲まれます。
こうして飲むと、たとえ少しの量でも汗にならないで体が楽になるといわれています。このように、水分をコーヒーからとることは、乾燥地で少ない水を有効に摂取するための知恵といえます。(案内版より)
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コーヒーの歴史と入れ方
コーヒーの歴史には諸説ありますが、エチオピアで3世紀ごろ発見され、薬として飲まれていた伝承があります。そして6世紀ごろエジプトなどで広く飲まれるようになり、ヨーロッパへと広がっていきます。エジプト、スーダンで飲まれるコーヒーの豆は、主にエチオピアやエリトリアから輸入されます。
入れ方は、まずコーヒーの生豆を煎り砕いて粉にし、水、香辛料とともにポット(ジャバナ)や鍋に入れ火にかけ煮出します。それを別のポットに移しかえ(またはそのまま)、小さなカップ(フィンジャーン)にそそいで飲みます。(案内版より)
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コーヒーを楽しむ作法(スーダン)
スーダンのコーヒーショップは、屋根のないスタイルがほとんどです。コーヒーセットを注文すると、コーヒーの入ったジャバナ、フィンジャーン、砂糖、お菓子、リラックス効果のある炊いたお香も付いてきます。
それをゴザの上に運び、お香の香りと会話を楽しみながら、ゆっくりと時間をかけてコーヒーを飲みます。知り合いでも通りすがりの知らない人でも、ポケットからフィンジャーンを取り出し仲間に入る、これがスーダン流のコーヒータイムです。
外出のときには必ず、ベストのポケットにフィンジャーンを入れて出かけます。(案内版より)
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コーヒーをもてなす作法(エジプト)
エジプトで飲まれているアラビアスタイルのコーヒーは、男性同士の会合や社交の場で飲まれます。テントや室内にはカーペットや心地のよいクッションが置かれます。テーブルの内側に照明やお香を入れて焚く場合もあります。コーヒーの前にまずデーツが出されます。
給仕をする人は立って右手でカップを重ねてもち、左手でコーヒーポットをもってそそぎます。カップが空になると2杯目がそそがれ、ゲストがカップをふって「もうけっこう」というまで続きます。ゲストが「おかわり」をいわなくてもよい気配りが、エジプト流のもてなしです。(案内版より)
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なんだかトルコで飲んだ本格トルココーヒーを思い出しました。
粉をそのまま水に入れて炭火に直にかける方法も似ているし、もしかしたらここから伝わったのかもしれませんね。
どうしてラクダは人に馴れているのでしょう?
生態系の観点からは、人間が直接摂取することのできない植物エネルギーを、家畜を介して利用しているといえます。家畜というと肉の利用を思い浮かべやすいですが、もっとも基本的な食料は乳および乳製品です。たとえば、母ラクダが出す乳の半分は子ラクダが成長するためにあてられ、残りの半分を人が分けてもらっています。一方、人はラクダが生きていくために欠かせない水をくみ、それを分け合います。お互いがいないと砂漠を生き抜くことができないのです。(案内版より)
食糧になるラクダ
ラクダを飼っている人びとは、ラクダの肉や乳を食べ物として利用しています。砂漠では、ラクダ肉はいつも食べるものではなく、ラクダが年をとったときや宗教的な行事の時に食べられます。肉は脂肪が少なく、ほとんどが精肉として食べられます。乳はしぼってそのまま飲んだり、温めて飲まれます。また、温めたものを一晩おいてヨーグルトのように乳酸発酵させて飲んだりします。ラクダの乳はタンパク質を多く含むため、エネルギー源としても重要な食糧といえます。最近では、低脂肪でビタミンCが豊富な健康飲料として市販されるようになってきました。(案内版より)
左上:しぼりたての乳 右上:ボトル入りラクダミルク
左下:コブの脂身と一緒に肉をいためる 右下:ラクダ肉はかためだがうま味がある
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燃料になるフン
ヒトコブラクダは木の葉を食べるため、フンは消化されなかった食物繊維でできています。フンの大きさは直径が2~3センチメートルほどで水分が少なく、ころころと丸いかたちをしています。木材が手に入りにくく貴重な砂漠では、乾燥させたフンで火をおこし、枯れ枝を燃やして調理などに利用してきました。ラクダのフンは砂漠のエコ燃料といえます。(案内版より)
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海を渡るラクダ~ラクダが海を渡るって知っていましたか?~
スーダン北東部の紅海沿岸には、牧畜をして暮らしている人びとがいます。彼らにとって、ラクダはいわば生活の「かなめ」になっています。彼らはラクダを舟代わりにしてサンゴ礁の島へ渡り、マングローブの葉を刈り取り、漁をします。ラクダは人間の足では痛くてとても歩けないサンゴ礁も、深さが2メートルある海にも平気で入ることができます。
ラクダが海を渡れるのは、周辺の地形や潮の流れを知りつくした人びとの経験があるからです。それでもときには潮に流されるなど危険がともなうので、行動は慎重になり、それが資源の乱獲を抑えることにもつながっています。自然に寄りそった暮らしが、資源を無制限に獲ることを防いでいるのです。(案内版より)
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乾燥地研究のパイオニア小堀巌
地理学者小堀巌は砂漠の研究に一生を捧げた。小堀の研究の特徴は、砂漠の自然と歴史を十分に考慮したうえで、そこ生きる人びとの知恵や現代の生活から砂漠の未来を考えようとしたことにある。特に、カナート、カレーズ、フォッガーラなどと呼ばれる、地下水路に関する世界規模の研究は、研究者だけではなく世界中の多くの人びとに大きな影響を与えた。小堀巌は没する直前まで、砂漠におけるフィールドワークを繰り返し、周りの人びとは彼のことを「砂漠にとりつかれた男」と評した。(案内版より)
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上の写真は、小堀巌氏のフィールドノートですが、砂漠の様子が事細かに記録されています。
本もたくさん出されているようなので、今度図書館で探してみよう。
砂漠は、観光として一時滞在する分には、日本での日常生活からはかけ離れた風景が見られるし旅情もたっぷり味わえますが、やはりそこで生きていくのはかなり厳しい。
とても勉強になる展示でした。
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