2014年11月12日水曜日

SPACE EXPO 宇宙博 2014 #12-日本の宇宙開発5(宇宙の観測・探査)

見学日:2014年9月

これまで行われてきた様々な観測に用いられた衛星や探査機のコーナーです。

●天文観測衛星
星から発せられる「光」は地上にある望遠鏡で観測できますが、天体からは、目に感じる可視光だけではなく、ガンマ線、X線、紫外線、電波などさまざまな波長の電磁波が出ています。地上に届いているのは可視光や一部の赤外線、電波などに限られ、天文観測衛星は、大気の外で観測を行うことで、宇宙から届くさまざまな波長の電磁波を観測しています。日本でも、X線天文衛星「すざく」「ASTRO-H」や赤外線天文衛星「あかり」、惑星分光観測衛星「ひさき」など、数多くの衛星が打ち上げられ、宇宙の謎に迫る手がかりが得られています。

●太陽観測衛星
太陽を詳しく観測する衛星が、太陽観測衛星です。地上からはとらえられないX線を観測したり、太陽の磁場構造を連続的に調べることで、太陽活動のメカニズムに迫ろうとしています。太陽観測衛星「ひので」は、1991年から2004年まで活躍した「ようこう」の後続機となる太陽観測衛星です。太陽コロナで起こる活動現象の謎とメカニズムの解明を目的として、日本・アメリカ・イギリスにより共同開発されました。可視光・X線・極紫外線の3種類の望遠鏡を搭載しており、2006年、M・Vロケット7号機で打ち上げられました。





●月・惑星探査
月や、他の惑星に探査機を送り、それらを探査するためには、より難しい高度な技術が必要です。現在までに、月には数多くの無人探査機が送られ、人間も降り立っています。また太陽系を構成する惑星、そして小惑星や彗星にも探査機を送り、それらの姿を観測するとともに、太陽系の多くの謎の解明に挑んできました。日本でもハレー彗星、月、火星、金星、小惑星に向けて探査機を打ち上げ、観測を行ってきました。また、水星や小惑星探査のための探査機の打ち上げも予定しています。

●月探査衛星
2007年9月14日、「月の起源と進化の解明」と「月の利用の可能性調査」のためのデータ取得を目的とした、月周回衛星「かぐや」を打ち上げました。「かぐや」は、月周回軌道に入り、子衛星の「おきな」と「おうな」をそれぞれ分離し、連携して月の全球的な観測を行いました。15種類の科学観測ミッションを実施し、アポロ計画以後、最大規模の本格的な月の観測を行いました。2009年6月11日、最後のミッションである月面への制御落下により、役割を終えました。






●水星探査衛星
国際共同水星探査計画「ベピコロンボ」は、日本とヨーロッパが共同で計画をすすめている水星探査ミッションです。水星の表面・内部を観測する水星表面探査機(MPO)と磁場・磁気圏を観測する水星磁気圏探査機(MMO)の2つの周回探査機で構成されています。日本では得意分野である磁場・磁気圏の観測を主な目標とするMMO探査機の開発・運用を担当します。両探査機は2016年度にアリアン5型ロケットで一緒に打ち上げられ、月や金星スウィングバイを経て水星に到達したのち、MMOとMPOは分離し、それぞれの観測を行います。




●地球観測衛星
日本は地球観測のための技術試験衛星の開発に積極的に取り組んでいます。陸域観測技術衛生「だいち」は地図作成、森林伐採の違法監視、災害発生時の状況確認などに活躍しています。温室効果ガス観測技術衛生「いぶき」は高精度で世界中の温室効果ガスの推定を行い、地球温暖化対策の研究に役立っています。また、地球規模での降雨量を高精度、高頻度で観測するために、NASAとJAXAが強力して開発したGPM主衛生は今年4月に打ち上げられました。水循環変動観測衛星「しずく」は降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、陸域の水分量、積雪深度などを観測しています。

●火星探査衛星
火星の大きさは地球のほぼ半分で、内部の構造や自転の周期(1日の長さ:約24時間)や自転軸の傾き(約25度)により四季の変化があるなど、地球と似ているところが多い惑星です。そのため生命がいる可能性が高いとして、これまで多くの探査機が火星に向けて打ち上げられ、火星周回軌道上から、またある探査機は着陸して表面を詳細に調べています。日本では、1998年7月4日に日本初の火星探査機「のぞみ」を打ち上げ、火星に約1000キロメートルまで近づきましたが、搭載機器の故障により火星軌道への投入を断念しました。




●金星探査衛星
金星の大気の謎を解明する目的で、紫外線から可視光、赤外線に至る5台のカメラを搭載して異なる高度の雲の様子を観測するミッションを予定していた金星探査機「あかつき」は、2010年5月に打ち上げられ、順調に飛行を続けましたが、12月、エンジンの不具合で金星の周回軌道に乗ることが出来ませんでした。その後、軌道制御を3回に分けて実施し、計画通りに軌道変更を行いました。2015年に再び金星に接近する時に、金星周回軌道投入を再度行うこととしています。

●宇宙服(船外活動服)
「船外活動服」は宇宙を高速で飛ぶ小さなチリがぶつかって多少破れても空気が漏れないように特殊な繊維を14層も重ねています。また、太陽の熱から守るために、断熱加工がされているため、宇宙飛行士は水を流して体温を冷やすための細いチューブが編みこまれている「冷却下着」を着て宇宙服内の体温を一定に保ちます。その他、空気を循環させるための装置や、吐いた息の二酸化炭素を処理する装置、通信装置、酸素タンク、水タンク、電池などを備えて背負っています。「船外活動服」は一人用の小さな宇宙船ということがいえます。








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