判断と選択に役立つ《数》の法則(野口哲典)
実際にどれだけ役立てることができるか別としても、単純に読み物として面白かったです。
一見、なんの規則性もなさそうに見える現象でも、実はある一定の法則があったり、同じ数字でも伝えられ方によってまったく違う印象をもってしまう心理トリックなど、もしそういう場面に出くわしたらちょっと意識してみたくなる内容。
もともと確率論は、ギャンブルにいかにして勝つかというところから発展してきたそうで、こういう本の中では、たとえば裏か表かのコイン投げやカジノのルーレットなどがよく引用されます。(ゲーム理論としても紹介されている)
コイン投げのゲームでは「大数の法則」により、やればやるほど裏表の出る確率が50%に近づいていくのですが、カジノなどのルーレットでは「0」と「00」の目が加わることによって、わずかながらカジノ側の勝率が上がるようになっています。
するとお客さんは、その確率の差の分だけ、やればやるほど損をしていくことになり、結局、大勝ちしない限り所持金は減ってしまうのです。
カジノ側は、たまに大当たりが出ても、大勢のお客さんがたくさん遊んでくれれば、必ずこの小さな確率の差で儲けることができるので、理論的には特別な措置をすることなしに、集客に力を入れればいいということになります。
そんな中で、どうすれば得をする確率を上げられるのかというと、勝率(期待値)の高いゲームを選び勝ったらそこでやめる短期決戦が最善策だそう。
やればやるほど損をするような設定では当然のことなのですが、そうは言っても、一旦儲けるとそこでやめられないのが人情ですよね。
そんなわけで、たいていの人は儲けた後も調子に乗ってゲームを続け、最後にはスッカラカンになって帰ることになる、というのが大方のオチになるのでしょう。(そしてカジノが利益を上げる)
ちなみに宝くじは、ルーレットなどよりも期待値がかなり低い(ルーレットの半分くらい)ので、買えば買うほど損をする額も大きいのですが、それでもなぜあんなに人気があるのかというと、多くの人は自分の身に運の悪いことは起きなくても、運の良いことは起こるかもしれないと思いがちだからだそう。
例えば、宝くじに当たるより交通事故に遭う確率の方が高いのに、事故で入院するイメージより大金を得て大きな家を買うイメージの方が抱きやすいということですね。
そろそろ「年末ジャンボ」の季節ですが、あくまで「夢を買う」くらいの気持ちで楽しんでください。
最後に、別の本でも読んで(この本にも書いてあった)大変面白かった「モンティ・ホール問題」をご紹介します。
これはアメリカで物議を醸し出した問題なのですが、なぜこのような正解になるのか、多くの学者達も理解できなかったそうです。
問題
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A、B、Cという3つの箱があり、そのうちのひとつに当たりが入っている。
参加者は、どれでも好きな箱を選び当たりを当てるよう指示される。
参加者は、Aの箱を選んだ。
司会者はどれに当たりとハズレが入っているか事前に知っていて、参加者が選んでいないB、Cの箱のうち、Cを開けそれがハズレだと参加者に見せる。
そこで司会者は参加者に、「今あなたはAを選んでいるがまだ開けていないBの箱に変えることができる」と伝える。
さて、参加者は選んだ箱をAからBに変えた方がいいのだろうか?
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ちなみにアメリカで出された実際の問題では、3つのドアがありハズレにはヤギ、当たりには車が入っていたそうです。ぜひ挑戦してみてください。
→答えはこちら。
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【内容】
「得をしたい」「勝ちたい」「結果がほしい」そんな切実な願いから、先人たちは“数”の法則を導き出した。人生は悩ましい選択の連続である。しかし、経済から仕事、人間の心理にかんする問題までこれらの法則を知っていれば、きっと最適解を見出せるだろう。“数学的に正しい”選択・判断をできる者が勝利するのだ。
【目次】
1 できる人は知っている!最高の結果が出せる数の法則/2 人生は選択の連続だから…成功を約束する数の法則/3 どんな勝負事でも負けない!迷わず得が取れる数の法則/4 世間のカラクリを見抜く!知らないとダマされる数の法則/5 常識がくつがえされる!ウソのようでホントな数の法則/6 イザというとき、あなたを救う!毎日の生活で役立つ数の法則
【著者情報】
野口哲典(ノグチテツノリ)
1958年、愛知県生まれ。雑誌編集者、マーケティングリサーチ会社等を経て、95年にサイエンスライターとして独立。文筆業や講演で活躍するかたわら、塾やカルチャースクールの講師もしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
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