旅行期間:2013年9月29日~10月8日
6日目
バスで15分ほど移動して「ハドサン」という有名なトルコ絨毯の専門店に到着。
朝の案内でもありましたが、ハヤティーさんの日本語の先生だったというサンジャクリ先生が案内してくれます。
綺麗な建物に入っていくと、満面の笑みで先生が出迎えてくれました。
大阪大学にいたというだけあって、関西弁まじりの日本語でユーモアたっぷりの説明です。
=====ガイド=====
オリンピック、おめでとうございます。
東京がはじめなら、その後イスタンブールの方がいい。
日本は太陽が昇ってくる国で、トルコは月だから。
カッパドキアにはふたつの面がある。
遊びのカッパドキア(観光、5つ星ホテル、大自然など)が2割で、あとの8割は生活のカッパドキア。
今からその生活の方のカッパドキアを紹介する。観光業のカッパドキアより面白い。
絨毯畑の紹介。
2000年前の中国の歴史の書にもこの絨毯畑のことが記載されており「アルタイ山脈の野蛮人(トルコ人)たちの国に絨毯畑がある」と書いてある。
13世紀のマルコポーロが来たときも、大自然と絨毯畑のことを書いている。
ここは海から遠く鉄道もないから産業もダメ。農業はジャガイモやブドウが有名だが、冬に雪が降らなかったら地下水がなくなるからそれもダメ。
最近20年以上前から異常気象で雪が降らなかった。だからここの人は大昔の仕事、羊を飼っている。でも家には家畜小屋が見えない。ここの家畜は冬が寒いから、家の地下で飼われている。
夏もあまり家にいない。草が古くなるから、山でテント生活をする。
女性は仕事が多くて大変。洗濯するのはお母さん、毛を紡いで糸を作るのはお婆ちゃん、そしてお婆ちゃんは孫娘を呼んで5000年前の自然(どの植物から何色がとれるかなど)を教える。
9月は草木染の季節。10月になると寒くなり山で生活できないから村に戻ってくる。
10月から5月の生活は、お母さんたちは6時前に起きて働き、お父さんたちは寝ている。
お母さんや娘たちは、家畜小屋の掃除、ミルクの搾乳、そしてそのミルクからチーズやバターを作り、午後1時くらいに食事。午後は夜中まで家で絨毯を織っている。
お母さんたちは織った絨毯を売るが、娘たちは売らずに嫁入り道具にする。できれば8枚とか10枚、織って持っていく。
そして、年をとって働けなくなり収入がなくなったらそれを売る。なぜなら、村には健康保険制度や年金制度がないから。
これは2000年以上前から続く習慣。
だからカッパドキアの娘さんたちは残念ながら学校に行かせてもらっていない。
8歳の時に2年間、お婆ちゃんのもとで指の練習、その後10歳から3年間は早織りの練習をしなければならないため。この時期を逃すと二度とできない。
将来のことを考えて長持ちするもの、古くなると綺麗になるものを織らなければならない。だからカッパドキアの絨毯は、二結び目で100年もの、鉱物媒染草木染。
家の中でも30年たつと綺麗な色になるが、それは長いので山に持って行って天日干しする。そうすると2~3年で色が変わる。
そしてそれをお母さんたちはどうやって売っているか?
学校に行ってないから、商売のことがわからないため、都市部の人にだまされていた。例えば冬にお店の人がここにきて、分割払いで30万円で買ったものを200万円で売った。でもこちらのお母さんはそんなことわからないし、時々残金ももらえなかった。
そのことはここ30~40年、大きな社会問題になっていた。
そのため、1995年にここの市役所、私の大学、絨毯研究所によってこの絨毯専門店ができた。絨毯を売りたいお母さんはまず市役所に持って行って委託し、頭金の2割を受け取る。サインはできないので拇印を押し村に戻る。市役所は絨毯をここに送って直売で売る。
問題は、最近でてきた中国産の偽物で、本物よりすばらしい。
8年前のこと、コンピュータができてから、絨毯の写真を撮ってそれをコンピュータに取り込み解析すると、こちらの人が一年がかりで作ったものをたったの10分で完成させることができた。さわってもぜんぜんわからない。
8年前にコンピュータができ、6年前から世界中でトルコ絨毯としてよく売られている。だから6年前までに買ったものは大丈夫。
トルコ政府は国の伝統を守るため、鑑定書の法律をつくった。
30年前のものは宝物。古くなって価値があがる。
トルコ人も本物だと思って買ったものが5年たって縮んだり、形が変形したりするものがある。
世界中で、トルコ絨毯として売られているものが実は偽物だったら、それを買った人は傷ついてトルコの信用もなくなってしまう。
そこで騙されないように、いつかトルコ絨毯を買うことがあったら正しい値段で本物を買ってもらいたいので、大学外国語教育センターの先生たちが交代で説明をしている。私もここの大学で日本語を教えている。日本では、大阪外語大学を卒業し、箕輪に住んではった。
トルコは世界で日本語が一番勉強されている国。ここで働いている人たちもみんな日本語ペラペラ。
トルコ絨毯は製品ではなくて作品。日本で絨毯だと思って買っているのは、90%が絨毯ではなくカーペット。
ここで織っている彼女たちは小さな村で織っているが、それは家の仕事。でもそうすると健康保険などに入れない。そこで市役所と大学で新しくできたこのプロジェクトで、交代でこの施設で織るようにしている。そうすれば本人はもちろん、家族全員健康保険に入れる。できれば今後20年以内に、まわりの村の人たち6万人が保険制度に加入できるようにしてほしい。
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ここで少し休憩。
フロアで絨毯を織っている村の女性たちと一緒に写真を撮ることもできます。
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